プロシアニジンに関する研究
ポリフェノールは、たくさんの(poly)フェノール(phenol)という意味で、ベンゼン環に複数の水酸基が結合した構造が特徴です。多くの果物や野菜にポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは、抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変えることができるため動脈硬化のような生活習慣病の予防に役立つことが知られています。
ポリフェノールとは
ポリフェノールの一つであるプロシアニジンは、リンゴやブドウに含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用などを有することが報告されています。プロシアニジンB2はエピカテキンの二量体であり、マクロファージからの炎症性サイトカインを抑制することが知られています。我々は、プロシアニジンB2にガレート基を付加した「プロシアニジンB2ガレート」に着目し、研究を行っています。
プロシアニジンとは
プロシアニジンB2ガレートによるサイトカイン産生の抑制
プロシアニジン化合物による免疫調節作用について検証したところ、ガレートを付加したプロシアニジンB2が過剰な免疫反応を顕著に抑制することが確認されました。また、プロシアニジンB2ガレートはT細胞から産生されるサイトカインを抑制することが示されました。プロシアニジンB2ガレートが制御するサイトカインは炎症を誘発することから、プロシアニジンB2ガレートの抗炎症効果が明らかになりました。
プロシアニジンB2ガレートの免疫抑制メカニズム
ガレート型プロシアニジンが、T細胞からのサイトカイン産生を抑制することが明らかになりましたが、その詳細なメカニズムについては分かっていませんでした。我々は、T細胞の細胞代謝(解糖系)に着目し、プロシアニジンB2ガレートによる制御メカニズムを解析しました。その結果、プロシアニジンB2ガレートは解糖系を抑制することでサイトカインの翻訳を制御することが明らかになりました。
プロシアニジンB2ガレートのIL-17産生抑制メカニズム
ガレート型プロシアニジンが、樹状細胞存在下で、T細胞からのIL-17産生を抑制することを確認していましたが、その詳細なメカニズムについては分かっていませんでした。そこで、T細胞および樹状細胞から産生されるサイトカインおよび転写因子に着目し解析した結果、ガレート型プロシアニジンはCD4陽性T細胞のTNF-α産生を抑制し、樹状細胞のIL-1β産生の低下を介して、IL-17産生を抑制することが示されました。